身内から見た漱石【漱石先生の実像に迫る】

漱石先生の身内の本を読みなおしました。
どれも面白く、年表や日記と併せて読めばさらに面白さが増しますね。

頭の具合がよい時と悪い時が繰り返されていた漱石先生ですが、修善寺の大患以降は、人が変わったように穏やかになったようです。

夏目鏡子【漱石先生の妻】

漱石先生の奥さんは、クサンチッペなんじゃないかと思います。
クサンチッペとは、ソクラテスの奥さんのことです。
(注)これは私の独断と偏見に満ちた意見です。

概して漱石先生は、崇拝している人たちには神様のような存在。
その先生を困らせたり、嫌な気持ちにさせたり、、、。
執筆の邪魔をしたりする輩は、言語道断。

そんな人たちの話は信じません。
したがって、この夏目鏡子さんの話も全部本当かどうか、疑わしいです。
まあ、立場が変われば違った見方になるというのも頷けますが。

しかし夏目伸六さんの書いたものの中でも、いきなり殴られたとかいう話もあるので、多少キレやすい人だったのかもしれませんね。

この「漱石の思い出」は実にいい本です。
漱石先生も、頭の調子がよい時には穏やかで子煩悩だったようです。

特に末娘の雛子の亡くなったところなどは、その場にいなければわからないような詳細な様子が描かれています。

文章は、小説家の松岡譲が描いているので間違いないでしょう。

やはり神経を病んでいたんでしょうね。
調子の悪い時には、家族に当たり散らしていたらしいです。
でも、弟子や客にはいい顔を見せていたらしいですね。

松岡譲【漱石先生の義理の息子】

漱石先生の長女筆子の夫。
松岡は、芥川龍之介・久米正雄らと同期で、漱石山房に最後に入門した弟子たちです。

松岡以外の人はすぐさま才能を認められ、世に出ます。
しかし松岡は、あまりぱっとしないスタートでした。
彼は新潟の寺の倅で、しつけがきちんとされていたため、気に入られたのではないかと思います。
それで、長女の婿になった。

私はうらやましいです。
漱石先生の近くにいられたなんて。
自分では漱石先生の弟子と思っていますからね。

夏目伸六【漱石先生の次男】

伸六さんは結構漱石先生関係の本を出しています。
右の角川文庫は、昭和41年のもの。
古本屋で探して買いました。
かび臭い古本の匂いがします。
ちなみにあとがきは本人でした。

左の文春文庫版は1991年。
平成3年ですね。
解説は半藤一利。
どちらも内容は一緒です。

読み始めると止まりません。

こちらも伸六さんの話。
一番印象的なのは、漱石先生と長男の純一、そして伸六さんが縁日に行った時の話です。

射的があって、先生が長男に、
「純一、お前やってみろよ。」
というと長男は恥ずかしがって、
「嫌だよ、恥ずかしい。」
と、漱石先生のたもとに隠れたらしい。

次に、先生が、
「伸六、お前がやれ。」
というと、伸六も兄の真似をして同じようなことを言い、同じくたもとに隠れるような仕草をした。
その時、烈火のごとく怒って、ステッキで殴る、蹴る。

学齢にも達していない子どもを、よくここまで打擲できたものだという感想があります。

その後、漱石全集を何となしにめくっていたら、そのようなことが描かれてありました。

自分がなく、人の真似をしている輩をひどく嫌った漱石先生でした。
伸六さんは、いつもびくびくしながら接していたそうです。
彼は末っ子(末っ子の雛子は、夭折)なので、まだよかったそうです。
上のお姉ちゃんたちはもっとひどい目にあっていたらしいから。

夏目房之介【孫】

漱石先生の長男純一(バイオリニスト)の長男。
マンガ家でもありエッセイストでもあります。

この本は漱石先生の作品を自分なりに解釈しています。
なかなか面白く、文章も平易で読みやすかったですね。
読み返してみるとまた、違った面白さを発見できました。

松岡洋子マックレイン【孫】

漱石先生の長女筆子の娘。
半藤末利子の姉。
この本は過去ブログで紹介しています。
漱石先生の研究

こちらも、面白いですが、やはり夏目鏡子さんにはかないません。

この本も、漱石先生のエピソードが満載でした。
中でも印象的なのが、先生が四女の愛子を可愛がっていたということ。
私も四女をお姫様のようにかわいがったので、分かります。
びくびくしないで、自分に向かってきてくれるのが気持ちいいからですね。
漱石先生の気持ち、少しわかるような気がします。

半藤一利【半藤末利子の夫】

半藤一利は、日本の作家。ジャーナリストでもあります。
妻は漱石先生の長女筆子の四女、末利子。

この本は漱石先生の住んでいたところや、留学先などが写真付きで分かるというもの。
住んでいた家の間取りもイラストで載せられています。

半藤末利子【孫】

この本も以前に紹介しました。

おわりに

皆さん、偉大な漱石先生の子どもだとか孫だからという呪縛にやられてしまっていますね。
偉大過ぎて同じ土俵に立てない。
私もそうです。
小説は書きたいけれども、漱石先生の小説を読んだら、自分には書けないと諦めてしまいます。
そんな呪縛がなかったら、面白おかしい文章を書いて世に出られるのになあと思います。
推理小説だの時代物だの、、、。
まだまだ、書けるようになるまでには30年は勉強が必要かもしれません。
いや、50年かな?

漱石先生についてのブログでものすごい人を発見しました。
土井中照の日々これ好物
漱石と親族26:鏡子の良妻度・悪妻度01:小宮豊隆の証言 | 土井中照の日々これ好物(子規・漱石と食べものとモノ) – 楽天ブログ (rakuten.co.jp)

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