金子みすゞを知っていますか

子どもの頃から、外遊びが大好きで家で読む本と言えば、昆虫や魚の図鑑ばかりだった。
そんな状況に危機感を感じたのか、ある日、家に「子ども大百科事典」が届いていた。
外に出られない時には、百科事典をながめた。

電車に書かれているクモハとかキハ、モハなどという奇妙な暗号も、このころ知った。

バレエの立ち方も、1番ポジションから5番までやってみたりした。

エペ・フルーレ・サーブルのフェンシングの3つの種目についても、面白いなと思って、おぼえたりしたし、深海魚の名前も覚えた。

ユーリファリンクスペリカノイデス」は、深海魚フクロウナギで、ペリカノはペリカンに似ているから?と思ったりした。
正しくはEurypharinx Pelecanoides。ペリカンのような広い顎という意味。

いろいろな事に興味がわいたが、「詩」だけは嫌悪感があった記憶がある。

それから40年、頭のてっぺんもちょっと心もとなく感じ始めたころ、「金子みすゞ」の詩に出会った。国語の教科書でおなじみの「わたしと小鳥とすずと」に衝撃を受けた。

 わたしと小鳥とすずと

わたしが両手をひろげても、
お空はちっとも飛べないが、
飛べる小鳥はわたしのように、
じべたをはやくは走れない。

わたしがからだをゆすっても、
きれいな音は出ないけど、
あの鳴るすずはわたしのように、
たくさんなうたは知らないよ。

鈴と、小鳥と、それからわたし、
みんなちがって、みんないい。

みんなちがってみんないいなんて100年近く前の人が考えていたこと自体がすごいことだと思いませんか?

そのころは、身分の差が歴然ととあったし、被差別部落の問題もあった。
参政権だって多くの税金を納めている成年男子にしか認められていなかった時代です。

農家に生まれたら農業をやるしかないような、こんな時代にみんなちがってみんないいなんて、どうやって考えたのでしょう。心が震えます。

こだまでしょうか

「遊ぼう」っていうと
「遊ぼう」っていう。

「ばか」っていうと
「ばか」っていう。

「もう遊ばない」っていうと
「もう遊ばない」っていう。

そうして、あとで
さみしくなって。

「ごめんね」っていうと
「ごめんね」っていう。

こだまでしょうか、
いいえ、だれでも。

最後のいいえ、だれでもというところにジーンときます。
金子みすゞの倍以上生きているのに、半分にも届いていない悔しさを感じます。

「楽しいね」っていうと、「楽しいね」っていう。
「愛してる」っていうと、「愛してる」っていう。

そんな人と一緒になれていたら、彼女はもっと長生きしてことでしょう。
26歳の若さで服毒自殺をせざるを得なかった天才。
詳しいことはWikipediaをごらんください。

おかし

いたづらに一つかくした
弟のおかし。
食べるもんかと思ってて、
食べてしまった
一つのおかし。

かあさんが二つっていったら、
どうしよう。

おいてみて
とってみてまたおいてみて、
それでも弟が来ないから、
食べてしまった、
二つめのおかし。

にがいおかし、
かなしいおかし。

本来おいしいものも、苦かったり、悲しかったりしてしまいます。
だから、罪を犯してしまったら、一生このような感じが付きまとうのですね。
まっとうに生きる。これが幸せへの道でしょう。

いぬ

うちのだりあのさいた日に。
酒屋のクロは死にました。

おもてであそぶわたしらを、
いつでも、おこるおばさんが、
おろおろないておりました。

その日、がっこでそのことを、
おもしろそうに、話してて、

ふっとさみしくなりました。

金子みすゞの視線には、いつも思いやりと優しさにあふれています。
自然への鋭い観察眼をもち、同時に人々への愛に溢れていますね。
いつも、自分たちを怒鳴っているおばさんが泣いているのを見て、いい気味だと思う気持ちは、わかります。これも最後の一文が光る詩です。

つもった雪

上の雪
さむかろな。
つめたい月がさしていて。

下の雪
重かろな。
何百人ものせていて。

中の雪
さみしかろな。
空もじべたもみえないで。

雪も擬人化して、どんな気持ちだろうかを推し量るなんて、すごいです。しかも、どの雪にも公平に。
自分だったら、こうつなげようかな。

降る雪
怖かろな。
どこに落ちるか知れなくて。

だれがほんとを

だれがほんとをいうでしょう、
わたしのことを、わたしに。
 よそのおばさんはほめたけど、
 なんだかすこしわらってた。

だれがほんとをいうでしょう、
花にきいたら首ふった。
 それもそのはず、花たちは、
 みんな、あんなにきれいだもの。

だれがほんとをいうでしょう、
かあさんにきくのは、おかしいし、
 (わたしは、かわいい、いいこなの、
  それとも、おかしなおかおなの。)

だれがほんとをいうでしょう。
わたしのことを、わたしに。

子どもの頃、大人が嘘を言っているのがわかりませんでしたか?
ほめているようで、バカにしている感じとか、いつも悪口を言っている隣人に、丁寧に挨拶している大人とかが、とてもいやらしく思えました。
だれが何といおうと気にしないのが一番です。自分の事は自分が一番よく知っていますからね。

全体を通じて、詩のリズムが心地よく感じます。七・五調はほんとに落ち着きます。

だからときどき
四文字に
なった時には
しんせんな
余韻をしっかり
かんじます。

金子みすゞの世界いかがですか、他にもたくさんの詩を残していますので、自分が大好きなのが見つかるかもしれませんよ。

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金子みすゞを知っていますか” に対して3件のコメントがあります。

  1. BLACK EYE より:

    東北の震災の時にテレビのACのCMが散々かかっていて「ポポポポ〜ン」とともに「こだまでしょうか?」もやってましたね。

    そうか…金子みすゞさんって方の作品だったのか…

    1. match より:

      詩なんて、興味なかったのですが、年取ると良さがわかってくるんでしょうか。

      1. BLACK EYE より:

        …それだけまっちさんがダンディーで包容力のある人になったのでは?(笑)

        シンガーソングライターの平沢進って方の歌詞はほんとにポエムで割と好きですww

        米津玄師氏にも影響を与えたそうです。

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